労働情報Pick up

労働情報Pick up/2013.6「法令等ニュース」より分離しました。

 2017年度最低賃金改定 全国平均25円増、北海道24円増

 厚生労働省は17日、2017年度の地域別最低賃金額改定に関する地方最低賃金審議会の答申状況を発表しました。

 全国の加重平均額(時間額)は848円となり、2年連続となる3%の引き上げで、金額でも昨年度と同様25円上昇しました。最低賃金額が時給のみで示されるようになった02年度以降2年連続最大の引上げとなりました。
 
 改定後の最高額は東京の958円、次が神奈川の956円、最低額は高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の737円となりました。北海道は、引き上げ目安額と同じ24円増の810円となります。地域格差は221円で現時点より3円広がりました。

 新潟、鳥取、宮崎、沖縄の各県は中央審議会の目安より1円上乗せした答申を出しました。3都府県が900円台、12道府県が800円台、32県が700円台。

 新たな最低賃金は、9月30日以降10月中旬にかけて順次適用され、北海道は10月1日から適用となります。

  ★詳細はこちらをご覧下さい。(要クリック)

2017-8-19

2017年度最低賃金改定目安 全国平均で過去最高の25円増

 厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会の小委員会は25日、2017年度の地域別最低賃金(時給)の改定目安について、全国過重平均で25円引き上げて848円とすることを決めました。安倍政権が目標にした「年率3%程度」の引き上げに合わせたものです。
 
 目安額が時給で示されるようになった02年度以降では最高の上げ幅です。北海道も02年度以降で最高となる24円の引き上げで、このまま反映されると現在の786円から810円となり、初めて時給800円を超えることなります。

 目安は、賃金水準などの経済指標を基に都道府県を4ランクに分類。平均時給が最も高い東京都、神奈川県などのAランクで26円引き上げ、京都府や兵庫県などのBランクは25円、北海道や岐阜県などCランクは24円、福島県や沖縄県などDランクは22円とされました。

 北海道は24円の引き上げで、現在の786円から810円となりますが、法定労働時間の週40時間働いても、年収は170万円程度にとどまり、ワーキングプアの分岐点とされる年収200万円を遠く下回ります。

 道地方最低賃金審議会は28日から審議を開始、8月中にも改定額が決定する見通しです。

2017-7-28

H28「過労死等の労災補償状況」公表 心の病、過去最多

 厚生労働省は30日、平成28年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ、公表しました。
 仕事が原因でうつ病などの精神疾患にかかり、平成28年度に労災認定されたのは498件で、昭和58年度の調査開始以降、最多でした。このうち過労死自殺(未遂含む)は84件でした。過労自殺には、昨年9月に労災認定された電通の高橋まりりさん(当時24歳)も含まれています。
 脳・心臓疾患は月80時間以上の残業が大半で、160時間以上も17件ありました。働き方改革の実行計画では、残業の上限を「月100時間未満、2~6か月平均で80時間以内」としていますが、80時間未満で労災認定されたケースが14件ありました。 

【ポイント】

1  脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
(1)請求件数は 825件(前年度比30件増)
(2)支給決定件数は 260件(前年度比9件増)
    うち、死亡件数 107件(前年度比11件増)
(3)業種別(大分類)
  ◎請求件数の多い順
  「運輸業,郵便業」212件、「卸売業,小売業」106件、「製造業」101件
  ◎支給決定件数の多い順
  「運輸業,郵便業」97件、「製造業」41件、「卸売業,小売業」29件
(4)職種別(大分類)
  ◎請求件数の多い順
  「輸送・機械運転者」187件、「販売員」97件、「サービス従事者」93件
  ◎支給決定件数の多い順
  「輸送・機械運転者」90件、「専門・技術者」30件、「生産従事者」27件
(5)年齢別
  ◎請求件数
  「50~59歳」266件、「40~49歳」239件、「60歳以上」220件
  ◎支給決定件数
  「50~59歳」99件、「40~49歳」90件、「30~39歳」34件
(6)時間外労働時間別(1か月又は2~6か月における1か月平均)
  ◎支給決定件数は「80時間以上~100時間未満」106件で最も多く、
  「100時間以上」の合計件数は128件であった。

2  精神障害に関する事案の労災補償状況
(1)請求件数は1,586件(前年度比71件増)
   うち、未遂を含む自殺件数は198件(前年度比1件減)
(2)支給決定件数は498件(前年度比26件増)
   うち、未遂を含む自殺の件数は84件(前年度比9件減)
(3)業種別( 大分類)
  ◎請求件数の多い順
  「医療,福祉」302件、「製造業」279件、「卸売業,小売業」220件
  ◎支給決定件数の多い順
  「製造業」91件、「医療,福祉」80件、「卸売業,小売業」57件
(4)職種別(大分類)
  ◎請求件数の多い順
  「専門・技術者」361件 、「事務員」307件、「販売員」220件
  ◎支給決定件数の多い順
  「専門・技術者」115件、事務員」81件、「サービス従事者」64件
(5)年齢別
  ◎請求件数の多い順
  「40~49歳」542件、「30~39歳」408件、「50~59歳」295件
  ◎支給決定件数の多い順
   「40~49歳」144件、「30~39歳」136件、「20~29歳」107件
(6)時間外労働時間別(1か月平均)支給決定件数
  「20時間未満」が84件で最も多く、「160時間以上」が52件あった。
(7)出来事(※)別の支給決定件数
  「嫌がらせ、いじめ、暴行」74件、「仕事内容や量の変化」63件の順に多い。
※「出来事」とは精神障害の発病に関与したと考えられる事象の心理的負荷の強度を評価するために、認定基準において、一定の事象を類型化したもの

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2017-7-7

 H28個別労働紛争 「いじめ・嫌がらせ」5年連続トップ

 厚労省は16日、「平成28年度個別労働紛争解決制度の施行状況」をまとめて公表しました。

【ポイント】
1 総合労働相談、助言・指導申出、あっせん申請の件数はいずれも前年度と比べ増加。 
総合労働相談件数は113万741件、9年連続で100万件を超え高止まり。
・総合労働相談件数 113万741件(前年度比9.3% 増)
 →うち民事上の個別労働紛争相談件数 25万5,460件( 同 4.2% 増)
・助言・指導申出件数  8,976件( 同 0.6% 増)  
・あっせん申請件数   5,123件( 同 7.3% 増)

2 民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全てで、「いじめ・嫌がらせ」がトップ
・民事上の個別労働紛争の相談件数では、70,917件(同6.5%増)で5年連続トップ。
・助言・指導の申出では、2,206件(同7.7%増)で4年連続トップ。
・あっせんの申請では、1,643件(同13.2%増)で3年連続トップ。

民事上の個別労働紛争 相談内容別の件数
1.いじめ・嫌がらせ 70,917件(22.8%)
2.自己都合退職 40,364件(13.0%)
3.解雇 36,760件(11.8%)
4.労働条件の引き下げ7,723件(8.9%)
5.退職勧奨 21,901件(7.1%)
6.雇止め等他 112,855件

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2017-6-29

 長時間労働の違法4割 6659事業場に是正勧告

 厚労省は17日、2016年4月から9月までに、長時間労働が疑われる10,059事業場に対して実施した、労働基準監督署による監督指導の実施結果を取りまとめ、違法な時間外労働などの法令違反が見つかった6,6659事業場(全体の66.2%)に是正勧告をしたとする調査結果を公表しました。

 この監督指導は、1か月当たり80時間を超える残業が行われた疑いのある事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があった事業場を対象としています。

 立ち入り基準となる時間外労働は1か月当たり100時間超から過労死認定ラインの80時間超に引き下げられましたので、立ち入り事業場は、前年同時期の4,861から倍以上に増えています。

 主な法違反としては、違法な時間外労働があったものが4,416(43.9%)事業場、賃金不払残業があったものが637(6.3%)事業場、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが1,043(10.4%)事業場でした。

【監督指導結果のポイント】

○監督指導の実施事業場:10,059 事業場
 うち、6,659事業場(全体の66.2%)で労働基準法などの法令違反あり。

○主な違反内容

(1)違法な時間外・休日労働があったもの     :4,416事業場(43.9%)  
 うち、最長の者が1か月当たり 80時間を超えるもの :3,450事業場(78.1%)
 うち、最長の者が1か月当たり100時間を超えるもの :2,419事業場(54.8%)
 うち、最長の者が1か月当たり150時間を超えるもの : 489事業場(11.1%)
 うち、最長の者が1か月当たり200時間を超えるもの : 116事業場( 2.6%)

(2)賃金不払残業があった者          : 637事業場( 6.3%)
 うち、最長の者が1か月当たり80時間を超えるもの:  400事業場(62.8%)

(3)過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの: 1,043 事業場(10.4%)

○主な健康障害防止に関する指導の状況

(1)過重労働による健康障害防止措置が不十分なため
        改善を指導したもの:8,683事業場(86.3%)
  うち、時間外労働を月80時間以内に削減するよう
           指導したもの: 6,060事業場(69.8%)

(2)労働時間の把握方法が不適正なため指導したもの: 1,189 事業場(11.8%)
  うち、時間外労働の最も長い労働者の時間数が
  1か月当たり80時間を超えるもの: 566事業場 (47.6%)

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2017-1-27

 ㈱電通に「ブラック企業大賞」

 労働問題に詳しい弁護士や大学教授ら11人でつくる「ブッラク企業大賞実行委員会」は23日、2016年のブッラク企業大賞に大手広告代理店の㈱電通を選んだと発表しました。

 12年から始まり、今年で5回目。長時間労働やパワハラなど過酷な条件下で労働者を働かせる「ブッラク企業」として問題になった企業の中から、同委員会が毎年大賞を選んでいます。

 大手広告代理店㈱電通では、昨年12月25日に新入社員だった高橋まつりさん=当時(24)=が過労自殺をし、今年9月に労災と認定されました。これを受け、11月には東京労働局などが本社と3支社を労働基準法違反容疑で強制捜査しています。

 高橋まつりさんが過労のため自殺してから25日で1年になり、高橋さんの母親が寄せた手記を寄せられました。

 ★手記の全文をこちらで読むことができます。(要クリック)

2016-12-26

 時間外労働「月80時間超」46% 三六協定の道内事業所

 (北海道新聞電子版10/27 05:00)
 北海道労働局は、1カ月当たり80時間を超える時間外・休日労働を可能とする 三六協定 を労使で締結した事業所のうち、実際に46%で協定通りに月80時間を超える時間外・休日労働が行われたと発表した。月80時間の 時間外労働 は「過労死ライン」と言われ、労働局は改善を求めている。

 三六協定を締結した事業所は、労働基準監督署長に届け出る。労働局は今年3~4月に「月80時間超」の協定を届け出た2020事業所を抽出して労働状況を文書で質問し、1636事業所から回答を得た。

 この結果、過去1年以内の時間外・休日労働時間数が、最長で「月80時間超」の労働者がいたのは755事業所。このうち、脳などの病気にかかった場合に労災認定の可能性が出てくる「月100時間超」は440事業所だった。

 このほか労働安全衛生法に基づいて、長時間労働による病気予防について社内の衛生委員会で調査審議をしていなかったのは321事業所(20%)だった。

 労働局によると、時間外・休日労働は月45時間を超えると病気になる可能性が高まっていく。労働局監督課は「労使の合意があるとはいえ、重い結果。事業所には労働時間の短縮や従業員の健康管理を求めたい」と話している。

2016-10-30

 2016年度最低賃金改定 全国平均25円増、北海道22円増

 厚生労働省は23日、2016年度の地域別最低賃金額改定に関する地方最低賃金審議会の答申状況を発表しました。

 全国の加重平均額(時間額)は823円となり、前年度に比べ25円上昇しました。答申は中央最賃審議会の目安を1円上回り、最低賃金額が時給のみで示されるようになった02年度以降最大の引上げとなりました(昨年度は18円増)。
 
 改定後の最低賃金は、最低の714円が宮崎と沖縄、最も高いのは東京の932円で、次が神奈川の930円となりました。北海道は、引き上げ目安額と同じ22円増の786円となります。地域格差は218円で、現時点より4円広がりました。

 埼玉、兵庫、鳥取、島根、香川、高知の各県では、目安から1円上乗せした答申を出しました。このため、鳥取と高知は最低額を脱しました。

 新たな最低賃金は、10月1日以降順次適用され、北海道は10月1日から適用となります。

  ★詳細はこちらをご覧下さい。

2016-8-25

 2016年度最低賃金改定目安 全国平均で過去最高の24円増

 厚生労働相の諮問機関、中央最低賃金審議会の小委員会は7月26日、2016年度の地域別最低賃金(時給)の改定目安について、全国過重平均で過去最高となる24円引き上げて822円とすることを決めました。安倍政権が目標にした「年率3%程度」の引き上げに合わせたものです。
 
 目安額が時給で示されるようになった02年度以降では最高の上げ幅で、初めて時給800円を超えました。

 目安は、賃金水準などの経済指標を基に都道府県を4ランクに分類。平均時給が最も高い、東京都、愛知県、大阪府などのAランクで25円引き上げ、埼玉県、兵庫県などのBは24円、北海道、宮城県、福岡県などCは22円、青森県、熊本県、沖縄県などDは21円とされました。

 北海道は22円の引き上げで、現在の764円から786円となりますが、法定労働時間の週40時間働いても、年収は163万円程度にとどまり、ワーキングプアの分岐点とされる年収200万円を遠く下回ります。

 道地方最低賃金審議会は7月29日から審議を開始、8月中にも改定額が決定する見通しで、10月をめどに適用されます。

2016-8-1

 北海道労働局 違法残業91事業場に是正勧告

 北海道労働局は去る8日、昨年11月に実施した平成27年度「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の実施結果について発表しました。

 今回の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や、若者の「使い捨て」が疑われる事業場など、労働基準関係法令の違反が疑われる170事業場に対して集中的に実施したものです。

 その結果、143事業場で違法な時間外労働などの労働基準関係法令違反を確認したほか、半数を超える91事業場で違法な時間外労働が認められたため、それらの事業場に対して、是正に向けた指導が行なわれました。

 北海道労働局では、今後も、月100時間を超える残業が行なわれている事業場などに対する監督指導の徹底を始め、過重労働の解消に向けた取り組みを積極的に行っていきたいとしています。

【重点監督の結果のポイント】

1.重点監督の実施事業場:           170 事業場
 このうち、143事業場(全体の84.1%)で労働基準関係法令違反あり。

2.主な違反内容
  [1のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]
(1)違法な時間外労働があったもの:        91 事業場(53.5%)
 うち、時間外労働※1の実績が最も長い労働者の時間数が
  月100時間を超えるもの  : 42 事業場(46.2%)
  うち月150時間を超えるもの:  9 事業場( 9.9%)
  うち月200時間を超えるもの:  2 事業場( 2.2%)
(2)賃金不払残業があったもの:          45 事業場(26.5%)
(3)過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:41 事業場(24.1%)

3.主な健康障害防止に係る指導の状況
  [1のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]
(1)過重労働による健康障害防止措置が
  不十分なため改善を指導したもの:       106 事業場(62.4%)
 うち、時間外労働を月80時間※2
 以内に削減するよう指導したもの: 74 事業場(69.8%)
(2)労働時間の把握方法が不適正なため指導したもの:28 事業場(16.5%)

※1 法定労働時間を超える労働のほか、法定休日における労働も含む。
※2 脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があるため。
[参考]平成26年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」の重点監督では、監督指導を実施した145事業場のうち、119事業場(全体の82.1%)で労働基準関係法令違反が認められた。

2016-3-24

 資生堂争議和解 女性7人の解雇・雇い止め撤回

 大手化粧品メーカー資生堂による解雇・雇い止め撤回を求めていた全労連・全国一般神奈川地本アンフィニ分会の女性7人が、東京都労働委員会に救済を申し立てていましたが25日、資生堂と派遣会社アンフィニが解雇・雇い止めを撤回し、和解が成立しました。

 非正規雇用の女性らは、神奈川県鎌倉市の資生堂鎌倉工場で口紅などの製造業務に従事していました。資生堂側に都合よく雇用形態を変えられながら働き続け、2009年5月、リーマン・ショックにともなう減産を理由に24人が解雇・雇い止めされましたが、7人は、資生堂と派遣会社アンフィニに対し地位確認や賃金支払いなどを求めて同年7月に横浜地裁に提訴し、一部勝訴。両者が東京高裁に控訴していました。同時に、資生堂が団体交渉の申し入れを拒否し続けることは不当労働行為に当たるとして、都労委に救済の申し立てをおこなっていました。

 和解の内容は、➀解雇・雇い止めを撤回する、②資生堂とアンフィニは解雇・雇い止めの経過などの紛争に関する事情について遺憾の意を表明する、
➂両社が連帯して解決金を支払う、というものです。

 原告弁護団の藤田温久(はるひさ)弁護士は、「大企業の資生堂が派遣労働者の雇用責任を認めた、画期的な和解だ」と評価。記者会見で、この間の労働裁判で裁判所は、労働法違反を認めながらも企業の社会的責任を回避してきたと指摘し、「今回の合意書で、資生堂は一つの範を示した。他の大企業もこの例にならって自らの雇用責任を明らかにし、格差社会を是正する方向に踏み出してほしい」と訴えました。

2016-1-27

 ワタミの過重労働再発防止策

 ワタミ過労自殺裁判の和解で確認された過重労働再発策は、次の通りです。
(ワタミ株式会社HPより)

 <過重労働再発防止策>
1 従業員の実労働時間を、正確かつ適正に記録し、実労働時間と異なる時間が就業時間として記録されることを徹底して防止する。
 実労働時間は、始業時刻、終業時刻、休憩時間をタイムカード等に正確かつ厳格に記録することにより、適正なものにするよう努める。
 また、勤務地と居宅が離れていることにより、深夜帰宅が困難となる事態を防止するために、人事部門が定期的に実態を調査のうえ、不要な事業場在場時間を撲滅するように努める。

2 1か月の実労働時間について、36協定(労働基準法第36条に関する労使協定)の定めに従い、従業員が定められた上限時間を超えて労働することを防止する。また、36協定の内容については、過重労働を防止するため、更新時に、現行の時間外労働時間に関する規定(1か月45時間、特別延長は1か月75時間で6回、年間720時間)を低減するように努める。

3 労働基準監督署から、事業場に関して是正勧告があった場合には、是正勧告及び是正報告等の内容を全従業員に周知するとともに、その内容をコンプライアンス委員会に直ちに報告する。

4 研修会、新卒ボランティア活動及び会社が出席を実質的に指示するもの並びに課題作成等会社がその作成及び提出を指示するものに要した時間は、適正に業務時間として記録し、残業手当を適正に支払うとともに、長時間労働を防止する。
 また、平成20年度から平成24年度までに、その当時のワタミフードサービス及び被告ワタミに入社した新卒社員全員に対し、過去分として一律金2万4714円を支払う。
 なお、該当者のうち退職した社員の、所在のわかる者には書面で連絡したうえ、所在が分からない者への支払いを確保するために、被告ワタミは、被告ワタミのインターネット上のホームページに、本和解条項本文第5項に記載される和解条項の記載と合わせて、上記条件に該当する社員であった者から申し出があったときには上記金員の支払いをする(但し、本和解条項をホームページに掲載する期間の最終日までに、受領の申し出のない者を除く)旨を掲示する。

5 平成20年度から平成27年度までの間にその当時の被告ワタミ及びワタミフードサービス(平成27年度はワタミフードシステムズ株式会社)に入社した新卒社員につき、賃金から控除した本購入代金等の返還として、該当する新卒社員全員に対し、それぞれ金2万4675円を支払う。
 なお、該当者のうち退職した社員の、所在がわかる者には書面で連絡したうえ、所在がわからない者への支払いを確保するために、被告ワタミは、被告ワタミのインターネット上のホームページに、本和解条項本文第5項に記載される和解条項の記載と合わせて、上記条件に該当する社員であった者から申し出があったときには上記金員の支払いをする(但し、本和解条項をホームページに掲載する期間の最終日までに、受領の申し出のない者を除く)旨を掲示する。
 また、社員が研修に使用する書籍や手帳を購入する際の代金収納方法については、社員の自由意思を阻害しないように、別途、検討を行う。

6 正社員を募集する際には、被告ワタミは、入社を希望する者らに対し、実労働時間等、休日・休暇の取得状況、退職等の離職率、費用負担の詳細、給与の当月分の支払いを翌月25日とする取扱い(新規に入社した社員の最初の給与の支払いが翌月25日となること)等の就労実態を正確に説明する。
 また、正社員を募集する際には、基本給額と深夜手当金額を分けて提示する。

7 被告ワタミは、弁護士等の法律専門家、人事労務の専門家を半数以上含むコンプライアンス委員会を運営し、定期的に労働環境及び就労実態を調査・検証することにより、過重労働の再発防止に努める。コンプライアンス委員会は当該調査・検証の結果を文書とし、定期的に被告ワタミにホームページに掲載する。

2015-12-28

ワタミ過労自殺訴訟 1億3,000万円支払で和解

 ワタミグループの居酒屋「和民」で働いていた森美菜さん=当時(26)=を過労自殺で失った両親が、ワタミ(東京都大田区)や創業者で参院議員の渡辺美樹氏らに損害賠償を求めていた訴訟は8日、東京地裁で和解協議がおこなわれ、渡辺氏らが約1億3,000万円を支払い、自殺は過労が原因と認めて謝罪することで和解が成立しました。

 森さんの死は、従業員に過酷な労働を強いる「ブラック企業」が注目されるきっかけの一つとなりました。賠償額には慰謝料4,000万円も含まれ、原告側代理人の玉木一成弁護士は「通常の倍額で『懲罰的要素』が考慮された」と指摘、今回の和解内容が、長時間労働の