国民年金基金

 国民年金基金

 安心して老後を過ごすには、老齢基礎年金(夫婦2人で月13万円・満額)だけではとても足りません。サラリーマンなどの国民年金の第2号被保険者の方々には、公的年金として老齢基礎年金のほかに厚生年金や共済年金が上乗せされていますが、自営業の人やフリーランスで働く第1号被保険者の方々には、公的年金の上乗せ部分がありません。

 そこで用意されているのが、公的個人年金としての国民年金基金です。国民年金基金に加入することによって、自営業の人やフリーランスで働く方々もサリーマンなどと同じように老齢基礎年金に上乗せすることができます。

 国民年金基金とはどのような制度なのか。

 国民年金基金は、国民年金の第1号被保険者の方々のために、
 老齢基礎年金に上乗せする公的な個人年金制度です。
 
 国民年金法に基づき、厚生労働大臣の認可を受けて設立されていて、
 「地域型」と「職能型」の2つがあります。

 地域型国民年金基金は、各都道府県に1つ設立されています。
 職能型国民年金基金は、同じ職種に働く方々で組織する基金で、
 25の職種で全国単位で設立されています。

 国民年金基金のメリット

(1)終身年金が基本です。
 65歳から生涯受け取る終身年金基本ですから長生きリスクに対応できます。

(2)年金額が確定、掛金額も一定です。
 掛金の支払により、将来受け取る年金額が決まります。
 加入したときの掛金が、途中で口数を変えない限り60歳まで変わりません。

(3)税制上の優遇措置があります。
 掛金は、全額社会保険料控除になるので、確定申告で税金が軽くなります。
 受け取る年金は、公的年金等控除の対象となります。
 遺族一時金は全額非課税です。

(4)万が一のときは家族に一時金が支給されます。
 掛金がムダになることはありません。

(5)自由なプランを設計できます。
 ライフプランに合わせて、年金額や受取期間を設計できます。
 加入後も年金や掛金の額を口数単位で増やしたり減らしたりすることができます。
 掛金を前納すると割引があります。

 国民年金基金に加入できる人・加入できない人

 国民年金基金に加入できる人は、20歳以上60歳未満の国民年金の第1号被保険者です。

 従いまして、次のような人は当然加入することができません。
 ・厚生年金や共済組合に加入している人(国民年金の第2号被保険者)
 ・厚生年金や共済組合に加入している人に扶養されている配偶者(国民年金の第3号被保険者)
 ・国民年金の任意加入している人(海外に住んでいる人、60歳以上の人)

 国民年金基金の加入は任意ですが、
 第1号被保険者であっても、次のような人は加入できません。
 ・国民年金の保険料を免除されている人
  全額免除だけでなく一部免除、学生特例納付、若年者納付猶予を含みます。
 ・農業者年金に加入している人

 加入に当たっての留意点

(1)いったん加入すると、
  自分の都合で任意に脱退したり途中で解約することができません。

(2)国民年金の保険料が未納のまま2年経過すると、
  その間に国民年金基金の掛金を納めていても、将来、基金の年金額に反映されません。
  なお、基金の掛金は還付されます。

(3)国民年金基金に加入した人は、
  国民年金の付加保険料【月額400円】を納めることができません。

 加入の申込方法

 ・各都道府県の国民年金基金(地域型基金)または職能型国民年金基金に加入申込をすることによって加入員となることができます。
 地域型基金と職能型基金の両方に加入することはできません。
 また、基金から委託を受けている生命保険会社や銀行等の金融機関を通じて申し込むこともできます。

 ・地域型基金に加入する場合は、その都道府県に住所があること、
  職能型基金に加入する場合は、その職種に従事していることが必要です。

 加入資格の喪失

 国民年金基金に加入した人が、次のいずれかに該当するとその資格を失います。
  ①60歳になっととき
  ②他の都道府県に転居したとき(地域型基金の場合)
  ③該当する事業または業務に従事しなくなったとき(職能型基金の場合)
  ④海外に転居したとき
  ⑤国民年金の保険料を免除されたとき
  ⑦農業者年金に加入したとき
  ⑧本人が死亡したとき

  加入資格がなくなった場合は、
  既に支払った掛金は中途で引き出すことができませんが、
  将来、年金としてもらうことができます。

 国民年金基金の掛金

 国民年金基金の加入は、口数制となっています。
 掛金の払込期間は、加入時から60歳到達前月時点までです。
 掛金の額は、減口・増口、または資格を喪失した場合を除き、
 払込期間終了まで変わりません。

 掛金は、選択した給付のタイプ、加入口数、加入時の年齢、性別によって決まります。
 掛金の上限は、月額68,000円となっています。
 全額が社会保険料控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されます。
  掛金一覧は、次のサイトを参照ください。
   ↓  
  http://www.npfa.or.jp/about/kakekin/index.html

 国民年金基金の給付

 国民年金基金の給付タイプは、原則として自分で事由に選択することができます。また、加入する口数も自由に選択できます。
 ただし、掛金の上限と給付タイプの選択ルールを守らなければなりません。

 給付タイプは、
 生涯にわたり年金を受け取ることができる「終身年金」と
 受取期間が決まっている「確定年金」があります。

 終身年金には、A型とB型の2種類があり、
 確定年金には、Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型の5種類があり、
 合計7種類から選択することになります。

 なお、終身年金のB型以外には、
 年金受給開始年齢前または保証期間中に死亡した場合に、
 その遺族に一時金が支給されます。

  ○各給付タイプの特長は、次のとおりです。

    〔種類〕 〔タイプ〕〔支給開始年齢〕〔保証期間(支給期間)〕    
   ①終身年金  A型    65歳      15年
   ②終身年金  B型    65歳      保証なし
   ③確定年金  Ⅰ型    65歳      15年
   ④確定年金  Ⅱ型    65歳      10年
   ⑤確定年金  Ⅲ型    60歳      15年
   ⑥確定年金  Ⅳ型    60歳      10年
   ⑦確定年金  Ⅴ型    60歳       5年

 支払いは、年金額が12万円以上の場合は、年6回偶数月に支給され、12万円未満の場合は、年1回支給されます。

 給付タイプの選択ルール

 1口目は、
 終身年金のA型とB型のいずれかを選択しなければなりません。
 また、A型からB型、B型からA型への途中の変更はできません。

 2口目以降は、
 終身年金のA型、B型と確定年金のⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型の7種類から組み合わせて選択することができます。
 ただし、確定年金の年金額が1口目を含めた終身年金の年金額を超えることはできません。また、加入口数を途中で増やしたり減らしたりすることができますが、増口は年度内に1回限りとされています。

 年金月額

 年金月額は、加入時の年齢と口数によって異なります。

 1口目の年金月額の場合、
  35歳(誕生月加入)までは20,000円、
  45歳(誕生月加入)までは15,000円、
  50歳(誕生月加入)までは10,000円、
  50歳以降は加入月により異なり、それぞれに加算額がプラスされます。

 2口目以降の年金月額は、
  35歳(誕生月加入)までは10,000円、
  50歳(誕生月加入)までは 5,000円、
  50歳以降は加入月により異なり、それぞれに加算額がプラスされます。

 具体例

 ○30歳男性が誕生月に計4口(1口目A型、2口目以降A型3口)に加入した場合

   掛金 毎月23,300円を60歳までの30年間支払う
   年金 65歳から毎月50,000円を生涯受けることができる