年金情報

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14年度の年金0.7%減額 保険料は月210円増

 厚生労働省は31日、2014年度の公的年金支給額を0.7%引き下げると発表しました。国民年金と厚生年金を受給する全ての人が対象で4月分から変更します。 

 過去の物価下落を理由に昨年に続いて1%削減する一方、名目手取り賃金変動率が0.3%になったため、「物価スライド」改定率はマイナス0.7%となるとしています。

 月額支給額は、国民年金(老齢基礎年金)を満額で受け取っている人は13年度と比べ月額で475円減の64,440円、厚生年金(老齢基礎年金を含む)が夫婦2人の標準世帯では同1,666円減の226,925円となるとしています。年金削減は、4月分が支払われる6月からです。

 一方、国民年金の月額保険料は、13年度の15,040円から210円増の15,250円になります。また、4月から2年間の年金保険料を前払いできる制度を導入するため、15年度の保険料も公表、さらに月340円引き上げ、15,590円になります。

2014-2-3

厚生年金基金制度見直し、第3号被保険者の記録不整合問題対応の法案成立

 厚生年金基金制度の見直しと国民年金第3号被保険者(専業主婦等)の加入記録不整合問題への対応、の2つを柱とする「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」が、6月19日に参院本会議で成立し、26日に公布されました。施行は平成26年4月の予定です。

1.厚生年金基金制度の見直し

 2012年に発覚したAIJ投資顧問による年金消失問題をきっかけに、中小企業が加入する「総合型」といわれる厚生年金基金が、深刻な積立不足に陥っていることが明らかになりました。国の厚生年金保険の一部を代わって運用する代行部分で損失を生じているものも多いことから、特に深刻な状況にある基金をについては5年以内に解散、母体企業に代行部分を返還させ、それ以外の基金も基準を下回れば厚生労働相が解散命令を出せることになりました。これにより約9割の基金が解散となる見通しのようです。なお、附則で10年以内に制度の廃止を検討することとされました。

◆概要

(1)厚生年金基金の新設は認めない。
(2)代行割れ基金(全体の4割)は、5年以内に解散させる。
  特例解散制度を見直し、事業所間の連帯責任を外すなど、解散時に国に納付する
  最低責任準備金の返済期間を現行の最長15年から30年に延長する。
(3)代行割れ予備軍の基金(全体の5割)には、早期解散や他の企業年金制度への
   移行を促進する。
(4)5年後も存続する基金には、代行部分の1.5倍の資産を保有するなどの基準を
   設定する。

2.国民年金第3号被保険者の記録不整合問題への対応

 この問題は、サラリーマン(第2号被保険者)の被扶養配偶者である第3号被保険者(専業主婦等)が、第2号被保険者の離職などにより、実態として第1号被保険者となったにもかかわらず、必要な届出を行わなかったために、年金記録上第3号被保険者のままになっていて不整合を生じているというものです。2010年に救済措置が内部通知により講じられましたが、保険料を納めた方と未納の方との間で不公平を生じるとして、国民年金法の改正による措置を講じることになっていました。2011年11月に法案が提出されたものの審議されないまま2012年の衆議院解散により廃案となっていました。

◆概要

(1)不整合記録に基づく年金額を正しい金額に訂正する。
(2)不整合期間を「カラ期間」(年金額に反映しないが受給資格期間としてカウント)
   として扱い、無年金となることを防止する。
(3)過去10年間の不整合期間の特例追加を可能とし、年金額回復の機会を提供する。
   (3年間の時限措置)

3.その他

(1)障害・遺族年金の支給要件の特例措置の期限を10年間延長する。

 ・障害基礎年金・障害厚生年金、遺族基礎年金・遺族厚生年金における「直近1年間に
  保険料未納がないときは、保険料納付要件を満たしている」とする特例措置
   期限 2016.4.1まで  → 2026.4.1まで  

(2)若年者納付猶予制度の期限を10年間延長する。
 ・30歳未満の第1号被保険者等であって本人および配偶者の所得が(扶養親族等の数
  +1)×35万円+22万円以下のものについて、申請日にかかわらず7月から翌年6月
  までの期間を対象として保険料を免除する制度
   期限 2015.6まで   →  2025.6まで

(2013-7-11)

厚生年金 4月から支給開始年齢引き上げ始まる

 会社員の場合、年金は厚生年金と国民年金の2階建てです。2階の厚生年金は(報酬比例部分)これまで60歳から受給できましたが、4月から1953年(昭28)4月2日~55年(昭30)4月1日に生まれた男性は61歳からの受給(女性は5年遅れの18年度から)となります。以降3年ごとに1歳上がって2025年度(女性は30年度)には65歳開始になります。一方、1階の基礎年金の受給開始は、男女とも従来の65歳のまま変わりません。

○支給開始年齢引き上げのスケジュール(男性の場合、女性は5年遅れ)
 <2013年4月1日現在の年齢>    <支給開始年度>    <支給開始年齢>
 59・58歳(1953.4.2~1955.4.1)  2013~15年度   61歳
 57・56歳(1955.4.2~1957.4.1)  2016~18年度   62歳
 55・54歳(1957.4.2~1959.4.1)  2019~21年度   63歳
 53・52歳(1959.4.2~1961.4.1)  2022~24年度   64歳
 51歳以下 (1961.4.2以降生まれ)   2025年度~     65歳

 支給開始年齢が引き上げられると、60歳になっても年金を受け取れない人がでてきますが、「繰り上げ受給」という制度があります。繰り上げ受給は、通常開始年齢より1か月繰り上げるごとに、繰り上げしない場合に比べ0.5%減額されます。この減額率は1度手続きしたら一生変わりません。

 また、繰り上げは厚生年金と基礎年金の両方セットでのみ可能で、別々に繰り上げすることはできません。このため「厚生年金61歳受給開始」に該当する人が、60歳になった時点で繰り上げ請求した場合は、厚生年金は1年(12か月)分の6%減額、基礎年金は5年(60か月)分で30%も減額されます。

 例えば、年額で本来なら61歳から厚生年金120万円、65歳から基礎年金78万円を受け取る予定の人が、60歳に繰り上げ受給すると、厚生年金は6%減の112万8千円、基礎年金は30%減の54万6千円になります。

 なお、繰り上げ受給すると、障害基礎年金が受け取れなくなることもありますので注意が必要です。

(2013-3-30)

 年金所得者の確定申告

 公的年金等の収入が400万円以下で、雑所得以外の所得金額が20万円以下の人は、確定申告が不要になっています。しかし、住民税に申告不要制度はありませんので、注意が必要です。

 年金収入が申告不要の額であっても、所得税が源泉徴収されている人で、年金から天引きされているもの以外の社会保険料(国民健康保険料や介護保険料など)の支払がある人、生命保険料や地震保険料などの支払がある人、災害等により住宅や家財に損害を受けた人、寄付金控除や住宅借入金等特別控除を受けられる人、また、扶養親族等申告書に記載漏れがあった人、年の途中で扶養親族が増えた人、寡婦(寡夫)控除を受けられる人は、確定申告をすることによって税金を取り戻すことができます。

 所得税を申告すると納税額が増える人は、申告不要制度を使って確定申告をしないで、市町村窓口で住民税の申告だけをすることもできます。生命保険料や医療費控除などの適用を受けて、住民税が安くなることがあります。

 お近くの市町村窓口などで相談してみるといいですよ。

(2013-2-14)

 年金支給額 10月から1%減額

 厚生労働省は25日、2013年度の年金支給額について、4~9月分は12年度と同額にすると発表しました。12年平均の全国消費者物価指数が前年比で変動しなかったためです。
 ただし、10月以降の支給額は4~9月分の支給額から1%減額されます。これは、現在支給されている年金額が、本来の年金額より2.5%高い水準(特例水準)で支払われているのを3年間で解消するための法律が、昨年11月に成立したためです。
 4~9月の支給額は、国民年金が1人当たり月額 65,541円、厚生年金が夫婦2人の標準世帯で月額230,940円です。
 10月から1%、14年4月に1%、15年4月に0.5%減額し、3年間で2.5%引き下げられます。

(2013-1-28)