裁量労働制

 7.裁量労働制 

 裁量労働制とは、研究開発などの業務、あるいは事業の運営に関する事項についての企画、立案などの業務について、その性質上、業務の遂行の方法や時間の配分などに関し、使用者が具体的な指示をしないことを労使協定や労使委員会の決議を定めた場合、当該協定や決議で決めた時間外労働をしたものとみなす制度です。
 裁量労働制を採用するには、労使協定の締結・届出、あるいは労使委員会の設置・決議・届出などが必要です。

 (1)専門業務型裁量労働制(労基法第38条の3)

 専門型裁量労働制では、裁量労働の対象となる業務として、新商品・新技術の開発、情報システムの分析・設計、取材・編集、デザイナー、プロデューサー・ディレクター、コピーライター、公認会計士、弁護士、建築士、不動産鑑定士、弁理士等の18業務が具体的に示されています。
 専門業務型の裁量労働制を導入する場合は、労使協定を締結し労働基準監督署へ届け出なければなりません。労使協定には、適用する対象業務、業務の遂行手段・時間配分の決定等に関し具体的な指示をしない旨、みなし労働時間、健康・福祉を確保するための措置、苦情処理の措置および記録の保存に関する事項などを定めなければなりません。

 (2)企画業務型裁量労働時間制(労基法第38条の4)

 企画業務型の裁量労働は、専門業務型と異なり具体的な業務が定められているわけではありません。企画、立案、調査、分析の業務に従事する労働者を、対象とするものと定められています。
企画型裁量労働を導入できる事業場は限定されており、本社・本店などのように当該事業場の運営に大きな影響を及ぼすような決定が行われることが必要です。
 企画型裁量労働制の導入にあたっては、労使委員会を設置し、一定の事項を決議しなければなりません。労使委員会で決議する事項は、対象業務および対象労働者の具体的な範囲、みなし労働時間、健康および福祉を確保するための措置、苦情処理のため措置、労働者本人の同意が必要なことおよび不同意の労働者に対し不利益取扱い禁止、決議の有効期間(当分の間、1年以内)、実施状況の記録保存、が必要です。